光触媒とサンエコートについて

このページでは光触媒とサンエコートについて、以下の2章に分けて説明をさせていただきます。
光触媒とは
サンエコート(SUN ECOAT)とは


■光触媒とは

・光触媒のメカニズム
原料になる酸化チタンは、太陽光や蛍光灯などから発生する紫外線を受けることで有機物を分解する活性酸素を発生、酸化分解作用により無害化(分解)・防汚効果(親水性)を発揮する効果です。

弊社”サンエコート”で具体的に何ができるかというと、木材、ガラス、コンクリートなど種類を問わず外壁を綺麗に保ったり(屋外)、シックハウス症候群の原因と言われるホルムアルデビドを始めとする化学物質を分解(屋内)したり、使用用途により使い方は様々です。

有機分解のメカニズム

・親水性とは
塗装表面に紫外線が当たり分解を続けると、空気中の水分で塗装面に親水基という水になじむ性質が起こります。親水性により汚れ物質は落ちやすくなり、それと同時に有機物の分解性を使い基材をきれいに長持ちに保つ事ができます。

親水性のメカニズム

親水という状態は、塗布面になじむ性質をもっています。通常何も特殊加工していない状態の塗布面ではただの水滴ですが、親水はなじんだ水滴が汚れの下に入り込みそのまま汚れを落とす効果を持っています。水をはじくだけなら撥水という状態もありますが、親水では同時に汚れも落とす事ができます。

水玉・撥水・親水の比較
水滴・浸水の比較

建物の外壁には油汚れなどの有機物の汚れだけでなく有機物の汚れが接着剤となって砂や塵などの無機物の汚れも付着してきます。酸化チタンが紫外線エネルギーにより有機物 (接着剤)を分解。塗装表面の親水性能により雨水でのセルフクリーニングを実現しています。

壁カベから汚れが落ちていくイメージ図
有機物分解機能T
有機物分解機能T(GIF動画)
有機物分解機能U〜親水性の持続〜
有機物分解機能U〜親水性の持続〜(GIF動画)

・科学的補足説明
酸化チタン(tio2)がバンドギャップエネルギー(3.2ev)を得ることにより、電子(−)が価電子帯から伝導帯に移動し空気中の酸素と結合しスーパーオキサイドアニオン(活性酸素)を生成。 さらに、電子の抜けた正孔(+)は空気中の親水基から電子(−)を奪いヒドロキシラジカル(活性酸素)を生成。
酸化チタンの活性化構造

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■サンエコートとは

サンエコートは光触媒の技術を応用し、独自の分散技術(特許申請中)により最高活性を求めて生み出した高品質な光触媒塗料です。サンエコートは通常の光触媒塗料に比べ防汚性能や意匠性、耐久性が優れています。

・高品質である為の秘訣@高い分散性
”サンエコート”の酸化チタンは高分散によりあらゆる面において従来品の酸化チタンの光触媒性能を上回る事が出来る製品です。 従来塗料に配合されている酸化チタンは凝集を起こし、同じ光触媒含有量にでもその効果が発揮されていないケースが多くみられます。

下の図にあるように、光触媒の原料である酸化チタン(TiO2)の一次粒子径は約10〜30ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1mm)ですが、常に凝集(集合する現象)して大きくなってしまう性質を持っています。この現象により活性面積が減少したり、意匠性の低下、酸化チタンの剥離などの原因に繋がります。
酸化チタンの凝集

サンエコートの特徴は原料となる酸化チタンの分散性を高めて凝集させない事=酸化チタンの粒径がより小さくなるので、有機物の分解作用を高める事と、基材の色合いを損なわずに施工出来る事が可能です。
また、バインダーに重合度の高い(鎖状や網状になる)シリカと組合わせる事により酸化チタンを多く配列させ、酸化チタンが有機物を分解する作用を有効的に使えます。 さらに高分散した酸化チタンを施工時に混ぜ合わせる事により凝集を防ぎます。

SEM(走査電子顕微鏡)の画像

・酸化チタンの粒子径による活性効率の違い
下図にあるように、弊社光触媒塗料”サンエコート”で使われる酸化チタンの大きさを1とし、他社光触媒塗料で使われる酸化チタンの大きさを3とします。
同一濃度(重度比率)で酸化チタンをバインダーに混入し、基材表面に成膜させた場合酸化チタンの粒子径が1/3の大きさになると、粒子の数は3の3乗の27個になり、被表面積は3倍になります。また、触媒活性は酸化チタンの表面でしか起きない為活性効率も約3倍になります。
粒径の差が与える光触媒活性影響範囲

・硝酸銀による酸化チタンの活性度合いテスト
先ほどの図、”粒径の差が与える光触媒活性影響範囲”を証明する為に硝酸銀を使って酸化チタンの活性度合いを調べてみましょう。 これはスライドグラスに酸化チタンを含む弊社90nmチタン、他社270nmチタン、チタン無しのバインダーシリカ単体を塗布し、成膜後に硝酸銀1%水溶液の中に漬けて紫外線に反応するようにしたものです。
紫外線にあてる事によりチタンが黒色化するので、目に見えて酸化チタンが活性する差がわかります。
下図:硝酸銀1%水溶液による酸化チタン活性面積比較法(特願2006-042912号)
活性化度合の証明

満遍なく小さい酸化チタンが行き届いている弊社90nmチタンが一番黒く、高活性だという事がわかります。一方、他社270nmチタンは酸化チタン自体が大きい為に弊社90nmチタンよりも低活性です。
また、弊社のバインダーシリカ単体(酸化チタンと基材を結ぶ接着剤)を塗布したスライドグラスは当然ながら酸化チタンが無い為活性しません。
酸化活性度合の証明

上の”酸化活性度合いの照明”の図の右にある3種類のスライドグラスを硝酸銀に漬けた10分後に摘出し、白色基材上にて色差をマンセル値 ※にて評価した。(※マンセル値とは、アルバート・ヘンリー・マンセルが考案。色を色相(H)・明度(V)・彩度(C)で表現。日本の工業規格(JIS)に採用。)

@弊社90nmチタン → CN-30近似
A他社270nmチタン → CN-80近似
B弊社バインダーシリカ単体 → CN-95近似

酸化チタンの粒径は小さいほうが活性範囲が良いと言う事が分かりましたでしょうか。酸化チタンを凝集させずに小さく保つ為には高度な分散技術が必要です(高分散)。ですから高分散を実現すれば高活性を得られるという事です。
高分散=高活性の仕組み

・高品質である為の秘訣A耐久性・安定性
光触媒塗料の耐久性や安定性を高めるには良いバインダー(接着剤)を使い分散された酸化チタンを正しく配列し、なおかつ塗料を薄く施工する事が必要です。

高純度シリカバインダーによる酸化チタン塗料の耐久性と意匠性
(*世界有数の高純度化学薬品メーカーである多摩化学工業(株)に開発依頼)

精密製を求められるIC基盤にも使用されている高純度で重合度の高いポリシロキサン※をバインダーとして採用。無機質で透明度が高く、親水性や耐候性に優れたこのバインダーは高重合度なシリカ結合層の形成をなし、基材へのチョーキング対策や表面Tio2密度の向上・収縮によるひび割れ抑止等の役割も担います。

※ポリシロキサンとはポリマー(重合体⇔モノマー)な二酸化ケイ素化合物(シリカ/Sio2/水ガラス) 接着剤(バインダー)。

@チョーキング対策
チョーキング※とは酸化チタンが持つ有機物分解作用が基材にも影響を与える事。
膜厚を均一に仕上げることの出来る高純度シリカ膜により、活性膜を形成。高純度シリカ膜により表面を酸化チタンで埋め尽くし、基材にあたる酸化チタンを酸素欠乏により不活性化する事でチョーキングを防止します。
※チョーキングにより基材にヒビが入ったり、気泡が出来るということはありません。
チョーキング対策

A収縮によるひび割れ防止の為の薄膜化
一般的な光触媒塗料は過剰に塗布しすぎる(圧膜化)と光が散乱し白化、虹彩化現象がおきたり、水分やアルコールが揮発し、収縮がおきた事によるひび割れなどが起きます。弊社”サンエコート”は薄膜化により以上の問題をクリアしています。
安定性・高耐久性を実現

高分散の酸化チタンを効果的に施工する事で下図のように明らかな違いが生まれます。もちろん弊社製品”サンエコート”にはひび割れはなく、風雨による汚れも見られません。この事から高い耐久性や安定した光触媒性能の効果が発揮されている事がわかります。
ひび割れ・汚れの違い

以上の事柄から、光触媒塗料”サンエコート”は高分散された極小の酸化チタンを使い、質の高いバインダー(接着剤)と合わせて酸化チタンの持つ性能を効果的に引き出し、薄膜塗装する事で最高活性した理想的な光触媒塗料となりました。
TiO2を最高活性させる3要素

・チョーキング問題における問題と改善
しかし、完璧かと思われたこの塗料にも改善点はあります。
それは高分散された酸化チタンも凝集してしまい、二次粒子が出来てしまいます。
酸化チタンという物は絶えず凝集してしまう性質を持ってしまうのだから仕方がない…というふうに弊社は考えません。
”その中でいかに効果的に酸化チタンを使えるか”を常に考えています。そのような中で生まれたのが二次粒子の極小化です。

◆高品質な光触媒塗料製造技術〜酸化チタン二次粒子の極小化〜
・光触媒は基材表面で起こる表面活性技術であり工場内加工(焼成蒸着)する場合を除き、酸化チタンを液化してコーティングする必要があります。
・液化する過程でナノ粒子は凝集し、数百nm〜数μmまで大型化(二次粒子化)します。
液化中の2次・3次凝集による品質劣化

・酸化チタン二次粒子の極小化に成功!!
※サンエコートは神奈川県産業技術総合研究所ナノ材料チームとの共同研究により、液相法によるゾルレベル分散技術の開発に成功(特許出願準備中)。中性域での平均二次粒子径100nm以下を実現。
電子顕微鏡写真

ここで説明してきました二次粒子径の極小化によって得られるメリットを以下にまとめます。

@液中三次凝集防止 (高品質) :
凝集を二次粒子までに留め、さらなる凝集をさせません。

A高いTiO2表面積 (高活性):
高分散を保っているので表面積に現れる酸化チタンは理想的な効果を発揮します。

B100nm以下の薄膜化 (活性性):
薄膜化は光触媒塗料において重要な要素です。

C優れた担持性 (高耐久性) :
二次粒子でさえ100nm以下なので酸化チタンの剥がれがおきにくく、効果が持続します。

D優れた意匠性 (高安定性):
薄膜化の成功により白化、虹彩、ひび割れなどを起こしません。


チョーキング対策
チョーキング対策
チョーキング/バックアタックの問題(gif動画)

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